行政書士は、広い意味での法律家です。
ただ、弁護士や司法書士、税理士など、隣接する法律専門職の方々とは、常に緊張関係にあるのも事実です。
そのような環境の中で、行政書士として成功するためには、行政書士が希少性を発揮できる分野はどこなのか、という問いを真剣に考えなくてはなりません。この問いに対して明確な答えを見出せないようでは、行政書士として開業したとしても、行政書士一本で食べていくことはむずかしいでしょう。
弁護士であれば裁判などの代理人としての業務(主に裁判所における業務)、司法書士であれば登記に関連する業務、税理士であれば税務申告や税金に関するコンサルティング業務など、それぞれの専門職にはわかりやすい専門領域があります。
これに対して、行政書士は、扱える分野が広い分、なかなか専門分野を開拓することがむずかしい職業といえるでしょう。
そんな状況ではありますが、一つ、行政書士が希少性を発揮できる分野を挙げると、それは、帰化申請に関する分野です。
帰化申請手続とは、外国人が日本国籍を取得するために、帰化申請することで、法務大臣から帰化許可決定を受け、日本国籍を取得するという一連の手続を指します。
帰化申請は、法務局への資料提出や、法務局の担当者との面談などで構成される手続ですが、必要書類がかなり多く、一般の方々が自ら対応することはむずかしい分野です。そこで、行政法の専門家でもある行政書士が、帰化申請を手伝うことによって、円滑な手続の遂行が実現する、というわけです。
これから外国人人口が増えると予想される日本においては、帰化申請に特化することで、行政書士として希少性を発揮できる可能性が高いでしょう。